接種呼び掛け中止を勧告 子宮頸がんワクチン 激しい痛みの副作用で 厚労省

共同通信社 6月17日(月) 配信

厚生労働省は14日、子宮頸(けい)がんワクチンの接種を積極的に呼び掛けるのを一時中止するよう、全国の自治体に勧告した。接種対象者への案内送付などは取りやめるが、効果を重視して接種を希望する人のため、ほとんどの自治体で無料で受けられる定期接種からは外さない。

副作用情報を基に安全性を検討する厚労省の専門部会が同日、症例数は少ないが接種によって長引く激しい痛みが起きている可能性が高く、実態解明が進み、適切な情報提供ができるまで積極的に勧めるべきではないと結論付けたことを受けた。

子宮頸がんワクチンは4月に施行された改正予防接種法に伴い、小学6年から高校1年相当の女子を対象に定期接種となったばかり。専門部会の座長を務める桃井真里子(ももい・まりこ)・国際医療福祉大副学長は「早急に情報収集し、(副作用の)正確な発生頻度を出す必要がある」と強調するが、接種呼び掛け再開の時期は読めず、医療現場や保護者に混乱が生じそうだ。

厚労省によると、定期接種の対象となっているワクチンの接種呼び掛けを中止するのは、2005年の日本脳炎ワクチン以来2例目。

部会では、副作用報告の中で、痛みが体の広範囲に及んだ38症例を重点的に分析。発症のタイミングなどから「接種との関係が否定できない症例が多くありそうだ」とした。

子宮頸がんワクチンは2社が販売している。厚労省のまとめでは、副作用の報告はグラクソ・スミスクライン社の「サーバリックス」が接種100万回当たり245・1回、MSD社の「ガーダシル」は同155・7回。同時期に定期接種になった小児用肺炎球菌ワクチンは同89・1回、日本脳炎ワクチンは同67・4回などだった。

※子宮頸(けい)がんワクチン

子宮の入り口付近にできる子宮頸がんの主な原因であるヒトパピローマウイルス(HPV)に対するワクチンで、HPVの7割を占めるタイプの感染予防に効果がある。子宮頸がんは、20~30代の若い患者が急増しており、4月以降、小学6年から高校1年相当の女子を対象として原則無料の定期接種となった。筋肉注射で接種する。原因不明の痛みやけいれんなど副作用が疑われる報告が相次ぎ、接種の中止を求める声も上がっていた。